鑑 定 事 例



■ 恩が仇に・・国との遺留財産争い・殺人犯の汚名 (2000.6.8作成)

 本事例は現に民事・刑事で争訟中の事件であり原告の国はともかく被告の個人(途中から原告・被告が逆転した不可解な事件)の人権を尊重するため、一部「あいまいな表現」に成らざるを得ない事をご了解下さい。固有名詞・日時・場所等々も事実と違っております。

 ● 長年のお手伝い・・子供のいない老夫婦に奉仕

 A子さんは勤務先付近で学校用文房具卸と雑荷商を営む老夫婦と、お客としての付き合いから交際が始まり10数年のうちに娘同様の可愛がられようとなっていった。毎日自分の仕事場が終わると老夫婦の店に立ち寄り伝票・帳簿の整理とそして戸締りを済ませ自分の家に帰る日々であった。
 A子さんは同所に出入りして5年程で結婚したが、その後も同じように老夫婦の手助けをする毎日であった。
 ところが老夫婦にはいとこの娘であると遠縁の女性(ここではB子とする)がおり、小さい頃は近くに住んでいた事もあって時々来ては「私が娘だと」言わんばかりの立ち振る舞いをするのであった。老夫婦はこんなB子と比べて、何時しかA子さを養女にと思っていたのである。

 叔父さんの死・A子さんの離婚

 当初の出会いから20年ほどたった頃、「叔父さん」と呼んでいた老夫婦の男性が亡くなり、又A子さんも離婚をしたため、「叔母さん」が養女になる事を熱望し、いつしか二人の間でも了解事項となっていったのである。
 このきっかけとなった大きな原因は、「叔父さん」のため入院時から寝ずの看病をし葬儀一切を切り盛りしたA子さんに対して、ただ通夜・葬儀にだけやって来たB子が「あんたは財産目当てにそんな事している」と衆人の中で罵倒した事である。この様子を不憫に感じ、「叔母さん」は一日も早い養子縁組を望んだのである。

 縁籍関係・相続の誤認

 後になって「重大な問題」へと発展していくのがこの「相続人としての誤認」である。 小さい頃から「叔母さん」と呼んでいたB子に対し、老夫婦とも「家をつぐのはお前だから」と何かにつけて話し、B子もまた「自分が唯一の法定相続人」と思っていたのである。
 ところがいとこの娘に過ぎないB子は、そのままの戸籍では何ら相続人の資格はなく双方がこの事実を知らず過ごしていた事、特にB子にとって自分の立場を侵害すると判断してのA子さんの面当てであったのである。

 ※何ら遺言無き場合、老夫婦の遺留財産は国に帰属してしまう。

 養子縁組の日、突然死

 離婚後は老夫婦の仕事を引き継いでやっていたが、いよいよ叔母さんとの養子縁組の日も決まり「その日」いつものように1回のシャッタ−を開け「叔母さん、来たわよ」と声を掛けるも2階からの声はなく「先に区役所で用紙だけ貰ってこよう」と小1時間後・・・何時までも「叔母さん」が降りて来る気配がないので2階に上がって見ると、そこには浴槽に半分浸かって息絶えている「叔母さん」の姿があったのである。
 すぐに救急車・警察に通報・・・・

 殺人犯としての事情聴取

 ここまでの状況で、何の利害もない人であれば「A子さん可愛そう」となるのであるが死後2ケ月後、たんすの中からA子さんに相続させる旨の「遺言書」が出てきたから事態が急転、「匿名の告発」で「A子さん殺人容疑で事情聴取」となったのである。
 「殺人事件の告発」とは大変な問題で、受理警察署が処理を間違えれば署長の首が飛ぶほどの事態である。
 受理警察署はA子さんの身辺捜査を含め限りない追求(当然、犯人としての過酷な調べ)・・・・
 A子さんは「このまま死にたい」と思ったとの事である。

 相続人と誤認していたB子依頼の「筆跡鑑定書」

 自分の財産が失われると誤認していたB子は、自費で200万円を支払い膨大な「遺言書虚偽の鑑定書」を依頼したのである。「叔母さん」の残した財産は貯金・不動産で約3億円、自分は相続人でない事も知らずに大枚なお金を掛けこの「鑑定書」が提出された事実は、後の民事裁判でA子さんに不利に働いた。裁判所は「何の利益をもらえない人の訴え」を鵜呑みに信じたのである。

 検察が求めた「犯人の筆跡」

 約2年に及ぶA子さん追求の中で、検察が求めたものは「遺言書」の筆跡が、「A子さん若しくは同女に近い人の筆跡」でなければならない。当然、親兄弟・友人知人等々から任意に或いは強制力で可能な限りの筆跡を所轄署に収集させ、それらは「科学警察研究所」が委託する鑑定人(所)へ刑事捜査での鑑定にかけられたのである。
 結果、担当検事は捜査責任者に「真犯人の筆跡をもって来い」と言っただけでA子さん及びその関係者の中に「犯人」はいなかったのである。

 ※捜査責任者が退職後、事件を回顧し一部を話してくれた。

 そして「遺言書確認」及び遺留財産請求の訴訟

 刑事追求でも「白」。A子さん及び関係者に「遺言書筆跡」の人物がいないとなると・・・誰が書いたのか?それは「叔母さん」しかいないのである。
 ここから私への鑑定依頼が始まったのである。A子さんの依頼を聞き数回面談、私なりの情報源で裏付け調査、文字の検分、矛盾・不合理・不自然の追及・・・
 どれを取っても不審点は見出せない。「遺言書」の筆跡も「叔母さん」の文字も「高齢者・病弱」等の条件を考慮すれば「本人の筆跡」との結論・・しかし相手は国である。約1年半の審理後地裁敗訴であった。
 いつも同様、国が相手では十分な審理が尽くされないまま。当然「鑑定人尋問」など行われる事も無く、膨大な200万円の「鑑定書」を鵜呑みに採用されて・・「裁判官、内容を見ましたか?」と聞きたくなるのである。

 「えつ!」不起訴が再起訴!!

 前記請求が地裁敗訴後、驚く事に「検察審査会に審議」されA子さんが「起訴が妥当」と「再起訴」されたのである。
 こんな事が何故起きるのだろうか?誰が「検察審査会」を動かしたのだろうか?・・・・弁護士ですら「こんな事は初めてですよ!」と絶句しているのである。 これが現実・・・ある弁護士が「山田さん情けない事に弁護士半分クズですよ」と言っていたが裁判官・検事・事務官等々法曹界解体再編成!と叫びたくなるくらいです。
 せめてA子さんの「証拠不十分・無罪」を信じる今日この頃です。



■ 一文字で真犯人が・・・ジャンバーに書かれたいたずら文字が
ここまで鮮明に
 依頼人・依頼動機・内容

 30少し前の見るからに人の良さそうな青年(一見20代前半)。言葉使いも丁寧に社内で受けている「イジメ」について相談に来た。家は中流、公務員の父と母・姉との4人家族である。おそらく所持品や風貌からなに不自由なく育てられたという様子である。親身になって聞いていくうちに、悔しさと興奮から首をゆすり唾をため口調が早くなって行く。気のやさしい善人の話し方特有である「何とかイジメ」の同僚をやめさせて貰うか、自分が転勤を希望したいと話も穏やかではない。
 詳しく被害の内容を聞くと、ロッカーに保管中の作業用ジャンバーにいたずら書きをされた。嫌がらせはこれだけではなく冷やかしや陰口、聞くに堪えない内容、所持品の隠し等々がひんぱんにである。
 このいたずら書きを証拠に、いままでのいやがらせを上司に暴露し前記要求をしたい。出来れば損害賠償まで起こしたいと言うのである。
 小学生のイジメに似た職場での行為。そこそこ名のある企業の現場でこんなくだらない事が起きている幼稚さにあきれ返っても本人はしごく真面目である。うすよごれた黄色ジャンバーを預かり「鑑定出来るかどうかやって見ましょう」と依頼を受けたが「くれぐれも社内で大事がないように」と付言してその日は帰宅させたのである。

 ジャンバーの文字

 毎日作業時に着ている「そのジャンバー」は薄汚れ、所々油ジミが付着していた。生地が凹凸のあるナイロン地のため肉眼検分では書かれている文字が明確ではなかった。そこで高感度写真で撮影したところ肩から腕の部分に「O−157」と判読出来る文字が写し出されたのである。
 しかし、マジックで柔らかいナイロン地に書かれた文字を「何と比較鑑定」すれば良いのだろうか?筆跡鑑定上の鑑定要素を見出すのに「殆ど無理」と判断した方が良さそうであり、もう一度これを見せて本人に「無理である。こじつけ鑑定になる」事を説明する事にした。

 「はて?」と思った文字

 どんな事をしてでも「この文字」を鑑定してくれとの執拗な要求に負け、「たとえ鑑定が無駄であっても、他の手段でイジメをやめさせよう。協力する」と伝え、「上司の了解を得て社員の文字、出来れば数字をコピーして来るよう」話したのである。2日後、約10人分の作業日報、伝票、発注書、請負書等々のコピーを携えニコニコ顔の依頼者は、すでに犯人を捕まえたように笑みを浮かべてやって来たのである。
 「おいおいこの鑑定はそんなに簡単なものじゃないよ」と話ながら合計100枚以上の「対照資料」を検分することにした。ジャンバーから読み取れる「O−157」のアルファベットと数字、これと比較するため持ち込まれた資料を検分するだけでもかなりの日数がかかる。数日後、僅か4つの対照文字ではやはり無理と判断し、依頼人を呼び鑑定の経緯と「鑑定不能」である旨を説明したのである。そして「十円単位の集金は大変ですね」と話すと依頼人は「最低料金が100円だから、十円の単位になる事はない」との説明に 「えっ?」と驚き、資料の一枚を取り出し「この160円と言う数字は100円なんですか?」「0の頭が飛び出して6となっているんですね」・・・
 集計のメモ欄にこんな特癖の「0」を書く社員がおり、写真の「O−157」の「O」の詳細検分で「油ジミ」と判断していた「O」の上の黒い線が実は「0」を書くとき同様の、上に飛び出す癖と共通していたのである。
 分かって見れば実に簡単、数字の0とアルファベットのOとを殆ど同じに書く日本人の、極めて稀な特癖を見せる人間が犯人であった。

 事後の措置

 犯人がやはり同僚の一人と判明すると、依頼人は依頼時と同様に興奮・・・ひと呼吸もふた呼吸もさせ「器物毀棄とかの犯罪も十分に構成するし、今までの貴方の気持ちも分かるがここは大人になって、二人をよく知る上司に仲裁を依頼しなさい。間違ってもこの事実を社内で吹聴したりすると、二人とも職場を離れる事になる」と十分説得したのである。
 依頼人は数日後、お礼の電話をくれ「山田さんの言われる通りにし、自分は少し通勤時間の短い他の営業所にして貰いました。」と・・・



■ 醜い遺産争い・・・すべて偽造の「遺産分割協議書」
(2000.7作成)

 依頼人の様子(人となり)

 依頼人と会って何時も痛感する事だが、初対面では殆どの人が「人の良さそうな、気の弱そうな」見るからに善人と思える人達である。警察時代の経験から「人間ウオッチング」が趣味のようなもので、何処にいても人を監察する悪い癖があり時々一緒にいる人に「ほらまた警察官の目!」と注意されたものである。
 そんな習性で初期面談の最中、依頼の内容を聞いていると同時に「その人の生活や価値観、色々なレベル」を無意識に思い描いてしまうのである。
 そんな私自身の人物評価の中でも、この依頼人(二人・叔父と姪)は「本当に純粋で真面目な人達」と言えたのである。

 知らなかった「相続終結」「偽造の遺産分割協議書」

 父を既に亡くし、今度は母が所有していた広大な都内の土地の遺産分割である。母が死に有に1年以上が経過したが、母と姪(A子さんと仮称)が住んでいた敷地面積600坪余りの家がどうなったか次男(B氏と仮称)及びA子さんは長男から何も聞かされていなかった。
 この相続人達の構成は、長男(病気で準禁治産、実質は妻が采配)、次男(B氏)、長女、三男(死亡・娘A子)の四人である。A子さんは前記の土地内に故人と住んでをり、その土地を分筆した地続きにB氏が住んで殆ど二人で故人をみとったのである。そんな二人に土地をどうする等々、相続の話が全く無いのである。 いくら善人でお人よしの二人でも「これはおかしい」と長男の妻に掛け合うと、驚く事にそこに出てきたのは「書いたことのない遺産分割協議書」である。
 そして分割の合意内容に更にビックリ、B氏とA子さんには「50万円の合意金」長女には「200万円の合意金」、その他所有物はすべて長男が取得する内容で調印されているのである。見たことも聞いたこともない書面と書類。自分たち二人の署名・捺印まであるではないか。

 何でこれが本物か!

 この書面を携えて二人が相談に来たのである。お母さんが無くなられた前後の記憶を呼び起こし、「何かに署名した事」がないか尋ねると、「そう言えば、母の郵便貯金をすぐに解約しなければ」とこんな用紙、しかし上半分のない紙に二人が署名・捺印した事実が判明。さらに私と提携している「M&K」の画像処理技術で、完全に複合された偽造遺産分割協議書である事が判明した。それ以前、この事件は別の弁護士が担当していた時「相手から」本遺産分割協議書がさも真正であるがごとくの「鑑定書」が提出されており、すでに裁判所も「その鑑定書」を採用する方向にあると言うのである。
 急遽、法廷資料としての「鑑定書」を作成し、当該「遺産分割協議書」の偽造性を主張し、証拠の審理を要求したのである。

 鑑定人より・・・裁判官殿「勉強して下さい」= 見抜けない偽造の手口

 当該鑑定書は、公務所定年の鑑定人が作成したものであるが、B4版を縦書きにした様式で縦横の寸法が微妙に異なり文字の筆跡や印鑑陰影の特徴も専門家であれば、容易に判別出来る程度の偽造なのである。
 何でこんな「初歩的な」偽造を看破出来ずまた真剣に検分・審理してくれないのであろうか?
 当事者にとっては重大な問題を、なんで粗に扱うのであろうか?単に肩書きのある鑑定人。一度裁判所で嘱託した実績があるからなどの理由だけで・・・・こんな鑑定人を選ぶのであろうか。
 技術は日進月歩。拡大鏡や肉眼だけの鑑定では、「極めて精巧な偽造」は見破れないのである。

 弁護士さん依頼人の無知に付け込まないで

 今は二人目の弁護士。こんな「偽造の文書」が出ていても、そこを強烈に追及しない。「相手側と談合でもしているの?」と聞きたくなるくらい。
 もう1年以上も「和解室」で、取りまとめの画策・・・何事にも気の小さい二人はややもすると「理不尽な合意」を勧められかねない。このままでは、こちらの「鑑定書」も審理されず「没」にされる可能性がある。対策をこうじなければ・・・

 刑事告訴を受理しない検察

 またこの「偽造遺産分割協議書」に対する、有印私文書偽造・同行使事件であるが。この部分だけを捉えて「刑事告訴」の道を選択したが、「時効期間を経過してしまった」との理由で受理されていない。
 詳細の事実はつかんでおらず言葉を控えるが、何とも納得出来ない現状である。

 いずれ内容把握し対応の予定。

 これから真実の追究が

 さてこんな現状を打破して、裁判に勝つ為には「何としても鑑定書の偽造を公にする」事である。
 やっと最近になって、現弁護士の訴訟戦術の弱さが露呈し、信頼も失われてきたので「弊会提携の弁護士」に依頼。
 何とか「真実」を裁定されるよう一層の取り組みをしなければと二人の支援を強力にしていく事となったのである。
 「正直者が馬鹿を見る」そんなが決してあってはならない。



■ 特別掲載「鑑定人の自覚」

 「鑑定」と名の付く業務全般に言え、私自身も肝に銘じている事であるが少なからず私達鑑定人が下した判断は他人の権利や義務に関する事であったり、物の価値を変える事であったり極端な例では「その人の人生まで変える」事がある。
 いま人気の物の価値を「お宝」として鑑定する番組にたとえると、もし心無い鑑定人が高い評価を加え幾人かの鑑定人がそれに同調すれば、その物の価値は確立してしまう。
 また物に関しての価値は「現在の希少価値」と言う基準があるから、それを目安として価値の高低を判断でき納得出来るものである。
 ところが私達のような鑑定はどうであろうか?

 韓国の事件・印鑑鑑定の例

 一昨年(平成13年)、韓国の事件で80歳になろうとする老女が銀行の口座から偽造印鑑を使用され、日本円で2億円ものお金を取られた事件があった。韓国内では連日のようにテレビ報道された事件であるが、払い戻しの印鑑印影が真正か偽造か?の鑑定である。
 真正であれば老女の虚言か誰か印鑑を使用出来るものの犯行で、偽造であれば印影から偽造印を造り得る人の犯行と言う争点になったのである。そして当該銀行の者の「偽造印鑑使用」ではないか?との疑いとなり、印影鑑定へと持ち込まれた。韓国では8人の民間鑑定人が偽造、1人の国家鑑定人が真正との判断を下したが、裁判では1人の国家鑑定人の意見が採用されてしまった。
 テレビ局はこの判断を不審とし、日本の鑑定人にも見て貰おうと私どもを含め2社に鑑定を依頼してきたのである。そして2社とも「偽造」の判断。
 この鑑定をも加味して裁判所の裁定を覆すべく、世論に訴えての行動をとったが「隣国の意見」など採用されるすべもなかった。

 同じような日本の鑑定・裁判所

 過去、私どもに依頼された鑑定の中にもこれと似た事例が幾つかあった。
 たった1通の「鑑定書」だけで裁判所が判断を下してしまった事例である。果たしてその「鑑定書」は100%黒あるいは白と言えたのだろうか?
 人の文字はその筆記時の条件で「幾つかの異なる文字を書くことがある」と言う事は、最高裁判例でも認められているところである。事実、持ち込まれる鑑定資料のうち「それだけで黒白判断出来る」筆跡は半分くらいなのである。幾つかの地裁で採用した離婚届や遺言書・遺産分割協議書等々の鑑定書は「明らかに偽造」と言えるものである。
 高額な金を貰えば黒を白とする鑑定人、それを看破出来ない(しない)裁判所・・・今同じ事が日本でも起きている。

 鑑定人たれ

 この仕事本当に難しい。同じ筆跡を見ても色々な疑問が生じてくる。勿論「より多くを見る」との経験も必要である・・・
 私なりの結論は、どんなに技術経験から判断しても「グレー」・・すなわち鑑定不能の筆跡もある。そんな筆跡は堂々と「グレー」と鑑定すべきである。そうすれば黒白を判断するのに「他の証拠」を探さなければならない。
 その事が真実の判断を下せる。それゆえ「未熟」と言われるのであればそれでも良い。少なくとも私は金に左右されない、いいかげんな判断で後悔しない・・そんな「未熟な鑑定人」でよい。

 裁判所指定の鑑定人など無いはずである。

 筆跡鑑定に関して、「裁判所指定」など無いはずである。「裁判所は専門的知識を有する人達の意見を聞く」との理由で「鑑定」と言う事になるのである。「鑑定」によって黒白の裁定を下し、ましてその事が大きな意味を持つ場合は複数の鑑定を実施すべきである。
 よく「鑑定は高いから1件だけ」と言うようだが、それによって敗訴となったらそれ程「高いもの」はない。鑑定人も訴訟当事者の経済的負担を考慮し「低料金」の奉仕で!
 過去の経験だけで「自信のない鑑定」をしている、T氏、K氏、H氏、A氏、S社の方々に言う・・・本当に迷惑な判決を下された人達が泣いています。!!



■ 知らぬ間の「離婚届」・・・妻は知らなかった1年も前の離婚を
(1995.10.21 作成)

 残念ながら日本の行政はすべて縦割り、他の官公署・公務所が何を所掌しているとかどんな組織、しくみから出来ているか知ろうはずもない。この事例は区役所が窓口となっている婚姻・離婚の手続き(予期していない)が原因となって起きた事例である。そこには「生命保険」受け取りと言う、別な出来事が加味され当事者にとって残念な結末となってしまったのである。

 長年の入退院

 夫のA男さんはもうすぐ60歳になるが心臓病でここ数年入退院を繰り返していた。妻B子さんとの間には25歳になる男の子がいる。A男さんは10数年前から「女性関係に不審な点」があり、勤務後もやたらに残業が多かったり、早朝休日の出勤まであるくらいだった。そしてここ数年は平然と外泊するようになり、それをなじるB子さんには言い訳がましい弁解と「心臓病でいつとも知れない」などと言って同情を買い、自らの行為をうにゃむにゃにするのである。
 病気のことを言われると「しょうがないか?」と黙認せざるを得ない状況で、いつもそれ以上強く言う事が出来なかった。

 入退院後の死亡

 そんな数年が経過した後、やはりA男さんは4度目の病院で死亡してしまった。
 葬儀・49日の供養を済ませ、会社での退職金・保険解約等々の金銭面の整理を始めた時「契約の保険会社」から「死亡払い戻しは済んでいる」との不思議な連絡だったのである。
 「何でそんな手違いが」と急ぎ保険会社に説明を求めると、「奥さんが戸籍謄本をと身分を確認出来る証書を持参し解約した」との事であった。B子さんは「自分が妻」である事を伝えると、それを証明するものとの事となり急ぎ戸籍抄謄本を取り寄せ唖然としたのである。

 離婚届・婚姻届の提出とそれに伴う戸籍の変更

 良く「結婚式のスピーチ」で「婚姻届はお二人がハネムーンに立たれた後ご友人が提出・・・」とか「離婚届用紙に判をついて渡してやった」などと耳にする通り、それら届けは「本人でなくても誰でも簡単に出来る」のである。そしてそれにより戸籍まで変更される事は周知の事である。保険金の払い戻しは今日でこそ色々な事件から慎重になってはいるが「要件さえ整っていれば」すぐにでも払い戻しを受けられるものである。
 そして本件の場合浮気相手のC子さんが「署名捺印を第三者に依頼しての偽造文書」であったため、その後数年かかって争い「損害賠償」に漕ぎ着けたのであるが、その時には3000万円の保険払戻金もすでに微々たるものしか残っていなかった。 

 訴訟初期での差押さえやまたC子所有財産の特定が困難だった事さらに、所在確認も大変であったため不法手段により得たお金を保全する手続きがなかなかとれなかった。勿論「保険会社は無過失との判断」

 また、その他の法律的判断についてはここでは言及しない。

 保険受取人を知らぬ間に変えられていた事例は他にもあり、一度確認を!!